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精神疾患と認知機能②

前回、認知機能というのは私たちが持っている情報処理能力であり日々の生活に欠かせない力だとご紹介しました。


今回はより具体的に紹介していきます。


認知機能には「注意機能」「作業記憶」「処理速度」「流暢性」「遂行機能」といったものがあります(研究者によって分類や定義が異なることがあります)。


①注意機能

注意機能というのは、注意をコントロールする力のことです。

目の前の課題に集中し続ける、色々な情報の中から特定のものだけに意識を向けたりうまく注意を切り替えたりする、といったことに関わります。


仕事場面で言えば、騒がしいオフィスの中にいても自分の仕事に集中して取り組む、話しかけられたらいったん手を止めて相手を聞き、話が終わったらまた自分の作業に意識を切り替えるといったことです。


注意機能が低下していると、騒がしいオフィスで様々な物音、話し声、周囲の人の動きがいちいち気になってしまって落ち着いて仕事を進めるということができないとか、なんとなく頭に思い浮かんだことに気を取られて仕事の手が止まってしまうといったことになります。



②作業記憶

作業記憶は、目や耳から入ってきた情報を一時的に覚えておく力のことです。


日々の生活の中には、ずっと覚えておく必要はないけれども作業が完了するまでは覚えておかなければいけない情報というものがあります。


例えば、

物の数を数えている時に何らかの理由で一時中断した後、ここまで何個だったか、どこまで数えたかを思いだす

口頭で受けた指示を、メモするまで正確に覚えておく

といったことです。


作業記憶が低下すると、何をしようとしていたか忘れてしまったり、人の話が頭に入らず何度も確認しなくてはならなかったりと、作業効率の低下につながることになります。



③処理速度

処理速度は、作業スピードのことです。特に単純な作業、慣れている作業をスムーズにこなすことに関わっています。


例えば、書類上の数値を表計算ソフトに入力する、在庫を数えるといったシンプルな作業を素早く正確に行うことに関わっています。


処理速度が低下すると、以前であればスムーズにできたはずの簡単な作業にも時間がかかるようになります。



④流暢性

処理速度は作業スピードでしたが、流暢性は思考のスピードのことです。


頭の中で素早く考えを整理することと関わっていますので、ここが低下すると、自分の中で言いたいことをまとめるのに時間がかかる、質問されても順序よく意見を言うことができないといった問題が生じてきます。



⑤遂行機能

問題解決や目標達成に向けて計画を立てること、計画を実行に移していくために自分の感情や行動をうまくコントロールする力のことです。


どういう順番で物事をこなしたら早く終わるか考えたり、予定通りいかなくなったときに柔軟に自分と計画を立て直していったりすることに関わりますから、


この能力が低下すると、余計な作業が発生して自分が疲弊したり、ちょっとしたハプニングで思うようにいかなくなると立て直せなくなってしまって目標が達成できず自信を失ってしまうようなことが多くなります。



大抵、複数の認知機能を同時に使いながら私たちは日々の色々なことをこなしています。

改めて、脳というのはすごいですね。

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